アナフィラキシーショックとは?

アナフィラキシーとは、アレルゲンなどが体内に入ることによって、複数の臓器や全身にアレルギー症状が現れること。
アナフィラキシーは、発症後、極めて短い時間のうちに全身に現れるアレルギー症状で、主にアレルギーの原因物質に触れる、食べる(飲む)、吸い込むことで引き起こされることが多い。
複数の臓器(皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器など)や全身に症状が現れ、血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることもある。
この生命に危険な状態のことを『アナフィラキシーショック』という。
日本におけるアナフィラキシー発症件数
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
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年間死亡者数(人) | 55 | 77 | 52 | 55 | 69 | 50 | 51 | 62 |
蜂毒関係 | 22 | 24 | 14 | 23 | 19 | 13 | 12 | 11 |
食物 | 2 | 2 | 0 | 0 | 2 | 4 | 0 | 1 |
薬物 | 22 | 37 | 25 | 23 | 29 | 24 | 10 | 10 |
血清 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 |
詳細不明 | 9 | 13 | 12 | 8 | 19 | 9 | 28 | 40 |
叶美香さんもアナフィラキシーショックの経験者

【叶姉妹・美香を襲ったアナフィラキシーショック 原因は咳止めシロップ、危険はすぐそこに】
セレブユニット「叶姉妹」の妹・美香が2015年12月2日、都内の病院に緊急入院していることが明らかになったが、病状は急性アレルギー反応の「アナフィラキシーショック」と診断された。
一時は医師から「命の危険もある」と告げられたほど重篤な状態だったというが、アナフィラキシーショックとはいったいどんな病気なのか。専門医のサイトによると、食べ物や薬、クラゲや虫の毒、ゴム製品、花粉など、アレルギーの元になる様々な物質が体内に入ったり、その物質に触れたりすると、激しいアレルギー現象を起こす症状をいう。
J-CAST ニュース
最初はくしゃみやおう吐、じんましん、まぶたや唇の腫れが現れる。
さらに急激に血圧が降下、呼吸困難に陥り意識を失う。
死にいたることも珍しくない。
アナフィラキシーショックが起こる仕組み

アナフィラキシーが起こる原因は様々だが、主に『食品』『蜂毒』『薬物』があげられる。
- 食品(鶏卵、乳製品、小麦など)
- 昆虫(アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチ)に刺されるなど
- 薬品(ペニシリンなどの抗生物質、アスピリンなどの解熱鎮痛薬、検査に陥られる造影剤、麻酔薬なども)
- ラテックス(ゴム靴、ゴム風船、手袋やカテーテル)などの医療用具
- 運動(運動中または直後にアナフィラキシーを起こす「運動誘発性アナフィラキシー」)
アナフィラキシーショックの主な原因としては、卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ、エビ、カニなどの食物アレルギー、ハチ、アリ、ムカデによる虫刺され、抗生物質や解熱剤、造影剤などの薬物投与、天然ゴム手袋などのラテックスの使用が知られている。
食物アレルギーによるアナフィラキシーは乳幼児期および学童期に発症することが多く、原因となる食物を食べた後に運動をするなど、二次的要素が加わることによって症状が出る場合もある(運動誘発性アナフィラキシー)。
ハチなどによる虫刺されの場合は、一度刺されると数日で一旦回復するが、再度刺されることによってアナフィラキシーを起こすことが報告されている。
ゴム手袋の使用によるアナフィラキシーは、天然ゴムの原材料であるラテックスに含まれるタンパク質に反応して発症する。
ラテックスアレルギーの人の30~50%は、クリやバナナなどのフルーツによってアナフィラキシーを起こすこともあり、ラテックス・フルーツ症候群と呼ばれている。
アナフィラキシーの罹患者割合
アナフィラキシーの罹患者割合 | |
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小学校 | 0.60%(29,282人/4,882,205人) |
中学校 | 0.40%(9,730人/2,458,174人) |
高等学校 | 0.25%(4,560人/1,800,610人) |
中等教育学校 | 0.27%(43人/15,922人) |
合計 | 0.48%(43,621人/9,156,911人) |
アナフィラキシーの罹患率(合計)の推移
アナフィラキシーの罹患率(合計)の推移 | |
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平成16年度 | 0.14% |
平成25年度 | 0.48% |
アナフィラキシーの症状

アレルギーによるアナフィラキシーの症状は様々だが、最も多いのは、『蕁麻疹(じんましん)』『赤み』『痒み(かゆみ)』などの皮膚症状。
自覚症状
- 不安感、無力感
- 動悸、胸が苦しくなる
- 鼻が詰まる、喉や胸が締め付けられる
- 吐き気、頭痛、口の中の違和感、便意や尿意をもよおす
- 皮膚のかゆみ
- 唇・手足の痺れ、耳鳴り、めまい、目の前が暗くなる
他覚症状
- 冷や汗
- 血圧低下、脈拍が弱くなる、チアノーゼ
- くしゃみ、咳発作、呼吸困難、ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音
- 嘔吐、下痢、糞便、尿失禁
- 皮膚が白くなるまたは赤くなる、蕁麻疹、まぶたや口の中の腫れ
- けいれん・意識障害
アナフィラキシーショックの際の対処法

- 「なんか体が痒いな…」
- 「食事の後に体調が悪くなるときがある…」
- 「心臓がバクバクする…」
こんなことを感じたら要注意!
体の異変を感じたら、すぐに病院に行ってしっかりと診断してもらいましょう。
もし医師にアナフィラキシーショックを起こしてしまう可能性があると診断された場合は、上の写真にもあるように『アドレナリン自己注射薬(エピペン)※アナフィラキシー補助治療剤』を処方されることもある。
アナフィラキシーは、僅か数分で心停止に至る場合もあり、アドレナリンの投与が早ければ早いほど救命率が高くなる。