食物アレルギーの仕組みとその原因は?

食物アレルギーとは、ある特定の食べ物により体に入ってきた異物を排除する免疫の仕組みが過剰に働いてしまう現象のこと。
僕たちの体には、有害な細菌やウイルスなどの病原体から体を守る「免疫」という働きがある。
通常、食べ物は”異物”として認識しないように仕組みが働き、免疫反応を起こさずに栄養素として消化・吸収する事ができる。
しかし、免疫反応を調整する仕組みに問題があったり、消化・吸収機能が発達していない乳幼児などは、食べ物を”異物”として認識してしまい、アレルギー反応を起こしてしまうことも多い。
乳幼児の5~10%、学童期の1~3%が食物アレルギーと言われている。
ただ、主要な原因食物である鶏卵・牛乳・小麦は年齢が上がるにつれ消化・吸収機能が発達し、アレルギー反応が起こらなくなっていくことが一般的。
もちろん個人差はあるが、食べ物を食べるだけでなく、触ったり、吸い込んだり、注射液に含まれる食物抗原が体内に入ったりした際にもアレルギー反応を起こしてしまうこともある。
アレルギーの原因食物
アレルギーの原因食物は、日本では主に『鶏卵』『乳製品』『小麦』があげられ、これらで3分の2を占める。
特に『鶏卵』が多く、全体の約40%にも及ぶ。
また、一概にたんぱく質の多い食物が原因になりやすいわけではなく、『キウイ』はたんぱく質が少量にも拘らず、原因食物として上位にあげられるほど。
これは『キウイ』に、アレルギーを起こしやすい構造のたんぱく質が含まれているからだと考えられる。
逆に、『肉類』はたんぱく質の塊だが、牛や豚、鶏などの筋肉の構造と人間の筋肉の構造が似ていることから、免疫学的な寛容度が働き、”異物”として認識される可能性が低いのではと考えられている。
全年齢における原因食物の割合 | |
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鶏卵 | 38.3% |
乳製品 | 15.9% |
小麦 | 8.0% |
甲殻類 | 6.2% |
果物類 | 6.0% |
そば | 4.6% |
魚類 | 4.4% |
落花生 | 2.8% |
魚卵 | 2.5% |
大豆 | 2.0% |
木の実類 | 1.9% |
肉類 | 1.8% |
アレルギーにはどんな種類がある?

今や日本人の2人に1人は何かしらのアレルギーだと言われていて、様々なアレルギーがある。
一言で『アレルギー』といっても、その種類は様々。
- 食物アレルギー
- 花粉症
- 気管支喘息
- アレルギー性鼻炎
- アトピー性皮膚炎
- アレルギー性結膜炎
- アナフィラキシー
- 蕁麻疹(じんましん)
こんな症状が出たらアレルギーの可能性あり?

食物アレルギーにはいくつかのタイプがあり、様々な症状が出る。
- 蕁麻疹(じんましん)
- 咳(せき)
- くしゃみ
- 鼻水
- 結膜炎
- 花粉症皮膚炎など…
その中でもアレルギー患者の約9割に発症する症状が『蕁麻疹(じんましん)』である。
「蕁麻疹が出てきて皮膚が痒い」など、何かしらのアレルギー症状だと考えて間違いない。
その次に多く、アレルギー患者の約3割に発症する症状が『呼吸器症状』。
呼吸困難、咳や喘鳴(ぜんめい:呼吸に際し、ゼイゼイ、ヒューヒューと雑音を発する状態)など。
その次に多く、アレルギー患者の約2割に発症する症状が『粘膜症状』。
粘膜症状は、外表的症状と気道粘膜症状を合わせたもので20~30%ほど。
主に外表的な粘膜に症状(まぶたや唇などの粘膜の腫れ)が出ることが多く、通常一番多い皮膚症状や外表的な粘膜症状は、程度がひどくなっても命を落とすことはない。
ただ、気道の粘膜症状は、気道の軟骨に囲まれ外側に腫れることができず内側に腫れるため、最悪の場合には窒息という状況になることもある。
その次に多く、アレルギー患者の約1割に発症する症状が『消化器症状』。
具体的には、腹痛、嘔吐、下痢など。
食物アレルギーは一生治らない?

乳幼児期(6歳以下)に発症した食物アレルギーは、消化・吸収機能の発達に伴い食物の耐性を獲得する(食べられるようになる)可能性が高く、比較的治りやすい。
逆に、6歳以降に食物アレルギーを新規に発症すると比較的に治りにくいとされている。
大人になってから食物アレルギーになった場合は、生涯に渡って症状と付き合っていかなければならないという人も多くいる。
そして、残念ながら食物アレルギーを完治させる薬はまだない。
食物アレルギーに関するデータが整備されはじめたまだ発展途上にあり、年々患者数は増えているというデータまである。
その背景には僕たちを取り巻く環境の変化が原因にもなっていて、文明病などと呼ばれることも。
「もしかして私、○○アレルギーかな?」と思ったら
食物アレルギーを発症したかもしれないと思ったら、まず速やかに病院に行くこと。
体に異常(蕁麻疹など)が起きている時点で、体の中で何かが反応していることは間違いないので、「まぁ大丈夫か」なんて考えは絶対にやめましょう。
必ず病院へ足を運び、専門の医師に食物アレルギーかどうかを診てもらうようにすること。
できるだけ早い段階で治療にとりかかり、正しい知識とともに対処するのが重要だ。